休職からの復職前に産業医面談をおすすめする理由

本投稿の要旨

  • 2011年に起きた市川エフエム放送事件について紹介
  • 復職に際して主治医や産業医との面談を経ていないことが企業の安全配慮義務違反の根拠となった
  • 復職前には産業医面談を推奨

事案の概要

この事件は市川エフエム放送事件と呼ばれています。ある労働者が職場の人間関係の問題からうつ病にかかり、自殺未遂を起こしました。その後、会社の代表者が労働者を復帰させた10日後、労働者は自殺しました。

労働者の姉が、会社が安全配慮義務を怠ったことを主張し、裁判が起こされました。 裁判では、会社の代表者が労働者の精神状態や自殺リスクを無視し、臨床心理士や産業医など専門家の助言を求めていなかったことが明らかになりました。裁判所は、会社が安全配慮義務を怠ったことを認め、労働者の姉に約3000万円の損害賠償を命じました。

産業医からの意見

この事案では、企業が復職に際してご本人の希望を聞いたのみで、産業医との面談などを経ずに復職させたことが安全配慮義務違反の根拠とされています。

実際に、私の経験でも、休職中の従業員が主治医から復職可能という診断書を持参し、強い復職希望を伝えることで、診断書だけで復職するケースがあります。

しかし、診断書だけで復職を判断するのは不十分です。実際には、従業員が復職希望をしていても、主治医は信頼関係を壊したくないため、休職が必要でも診断書を出してしまうことがあります。また、医学的には社会生活が可能でも、勤務に耐えられるかは主治医には分からないこともあります。

したがって、主治医からの復職可能という診断書が出たあとには、産業医との面談で復職が適切かどうかを判断することが望ましいです。

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